突然の来客

夕食をとった後、ソファーに寝ころびながら、これまで撮った写真を眺めていたときだった。
ふと部屋の入口を見上げると、どこかで見たことのある女の子が立っていた。
アルトゥールの同級生のクリスティーナだった。
あまりに不意を突かれたため、始めに口を出たのは"Why?"だった。
彼女はアルトゥールの家の隣に住んでいたのだった。
お土産としてターキッシュ・ディライト(トルコの伝統的なお菓子)を持ってきてくれた。

アルトゥールもやってきて、3人で梅酒を飲みながら、瓦せんべいを食べることになった。
これらは僕がお土産として日本から持ってきたものである。
瓦せんべいは神戸の典型的なお土産で、表面には神戸の港のデザインが焼き付けられていた。
クリスティーナはデザインを気に入ってくれたようだ。
彼女はウクライナ南部の出身で、天気のいい日が続く、農地のたくさんあるところで生まれ育ったそうだ。
そのため、彼女の肌はつやのある褐色である。
これまであってきたウクライナ人の多くが透き通るような白い肌をしていたのとは対照的である。
彼女は授業の関係で2週間ほどイギリスに行った話をしてくれた。
圧倒的な人ごみと、物価の高さにカルチャーショックをうけたらしい。

クリスティーナはダンスが得意で、目の前でオリエンタルダンスを披露してくれた。
腰を振り、黒髪をなびかせセクシーに踊る。

ダンスのお返しに、日本の音楽をYoutubeで紹介した。
すでに深夜0時を回って、ルーダも寝ているので、音量は控えめで。
歌詞が分からなくても良さが分かるようにと、選んだ曲は松任谷由美、一青窈 etc。
普段音楽を聞かないため、誰でも知っている程度の曲しか分からない。
とりあえずユーミンの「春よ来い」は、国境を越えた名曲であることが実証された。
ウクライナ人の友達と梅酒を飲みながら、日本の歌を聴く。
何とも不思議であるが、幸せなひとときでもあった。

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