全てのものが不思議に見えたので

朝食が終わるとアルトゥールは授業があるので大学へ。
すぐに帰って来るというので僕は家でまったりしておくことに。
PCを自由に使っていいということで、メールのチェックもできて非常にありがたい。
言語設定で日本語が使えるようにもしてくれた。
部屋にある雑誌やテレビを見て、ウクライナの生活に触れてもいいということだ。
朝食をとったテーブルには大量の食べ物、飲み物が置いてあった。
食べきれないほどの食べ物で相手をもてなす。
これがウクライナのスタイルなのだそうだ。
アルトゥールが家を出ると、僕は部屋でくつろぎつつ、周囲のものを観察し始めた。
全てのものが目新しく感じられたからだ。
今僕が座っているソファーベッドは非常に大きく、168cmの僕なら余裕で寝転がってくつろげる広さだった。
普段は189cmのアルトゥールが使っているのだから広くて当然なのだろう。
189cmもあれば日本ではトップクラスの長身だが、ウクライナでは彼より大きい人は普通にいるのだそうだ。
パソコンもなんか違う。
キーボードがキリル文字が書かれている。
雑誌は全てウクライナ語で書かれているので読めず、軽くめくってみる程度にして、テレビをつけてみた。
チャンネルは英語表記なので操作は可能だった。
訳も分からないウクライナ語の放送を眺めてウクライナ文化に触れてみようとしたり、英語に切り替えてニュースを見たりした。
相変わらず英語でも何言っているのかよく分からない。

テーブルに置いてある食べ物も試してみた。
満腹になるまで朝食を食べたので、少しつまむ程度だったが、パンに黒いものが練り込まれているやつを食べてみた。

見た目から始めはチョコレートだと思っていたのだが、食べてみると全然違った。
後でケシの実だとアルトゥールに教えてもらった。
飲み物も水を飲もうとして未開封のボトルを開けると、「プシュ」っと中のガスが漏れる音がした。
水だと思っていたものは炭酸水だった。
普通の水を飲みたかったのだが、キャップを開けてしまったので少しコップに注いで飲んだ。
僕は「わざわざおもてなしのために炭酸水を用意する必要はないのに」と思った。

ソファーの上でごろごろしていると、ルーダが部屋に入って来た。
ルーダは英語が喋れないのでウクライナ語で話しかけてくる。
何を言っているのかは全く分からないけど、テーブルの上の食べ物をいじっているところをみると、どうやら「遠慮せずに食べなさい」ということを言っているらしい。
1度消していたテレビをつけだしたりもした。
アルトゥールが出て行く前に僕に言ったこととほとんど同じようなことを説明してからルーダは部屋を出て行った。

キッチンは改修工事が行われていた。
調理は廊下のテーブルで行わなければならない。
この家に来た日、廊下に調理器具が置いてあり、アルトゥールがその理由を説明してくれていたが、ようやく意味を飲み込んだ。
アルトゥールの部屋には長細い木材が置いてあるし、工事中の部屋には業者らしきのいかつめの中年男性が出入りしている。

2時間くらいしてアルトゥールは帰って来た。
アルトゥールにテーブルに置いてある炭酸水ではなくて、ミネラルウォーターがほしいと言ったら、彼は少し意外そうな顔をした。
ウクライナでは、炭酸水の湧水があり、ミネラルウォーターは炭酸有りと無しの2種類あるのだった。

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