これがウクライナの出会い(恋愛)スタイル

アルトゥールはときどき咳をしている。
僕の体調も万全ではない。
昼夜の寒暖差があるこちらの気候に体が慣れていなかった。
日本の9月中旬は、秋の気配はする一方で、残暑の厳しさが残っているもの。
日本のように半そで半ズボンで寝ていたら、明け方に目覚めてしまい、手足が冷たくなっていた。
その日から鼻水、くしゃみが止まらない。

背の高い樹がいくつも立っていて、直射日光を遮っている。
広々とした公園を散歩したり、ベンチに座って自然を眺めるのは心地いい。
日本のように湿度が高くないため、木陰に入ると急に暑さが和らぐ。
木々の隙間から吹き込んで来る風が肌に当たり、適度な涼しさと緑に囲まれ癒される。

遠く離れたベンチにカップルが座っていた。
人目を気にせずにいちゃつくので、すぐにわかる。
平日の夕方にも関わらず、多くのカップルを見かけた。
日本のように公の場で自粛する感じが全くない。
メトロの中やエスカレーター上でキスをしていても、お構いなしである。

ウクライナはカップルが多いという話をしていたら、アルトゥールに、人と目を合わせることができるか聞かれた。
日本で相手の目を長く見ることはないと思う。
目上の人を凝視することは失礼だと思われることさえある。

ウクライナではアイコンタクトは失礼にはならないし、すれ違う女の子を見つめて向こうがスマイルを返したら、自分に気があるサインなのだそうだ。
僕はそんなに単純に考えて大丈夫なのかと思った。
日本だと本音と建て前があるので、愛想笑いに過ぎないこともある
彼曰く、ウクライナ人は感情表現がストレートなのでスマイルは「好意」と考えていいのだそうだ。
歩いているときに自分にスマイルを向ける子を見つけたら、飲みに誘うこともできるそうだ。
ごくまれに女の子から話しかけてくるケースもあるらしい。

メトロから降り、人ごみを抜けてエスカレーターを上っているとき、アルトゥールに「君を見てスマイルをしていた子がいた」と真顔で言われた。
全く気付かなかった。
ウクライナの女性はウクライナの男性が好きなのだが、アフリカ系やアジア系を好む子もまれにいるのだという。
今度からすれ違う人の顔を見ようと思った。

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