日本に来ている留学生の気持ちがちょっと分かった

日本にいると、日本政府の批判ばかりするのが主流であるが、ウクライナに来てみると、意外なところで仕事をしていると実感するものである。

ウクライナで有名な工学系の大学の敷地に、ウクライナ・日本センターというものが存在する。
久しぶりの日本語表記に思わずテンションが上がる。
中に入れるとのことなので、さっそくお邪魔してみる。
内部には、背の低い本棚に日本語で書かれた本が並べられていた。
小学生以来、お目にしたことのなかった本まであって、日本語の勉強に使っているのだろうか。

入口を入って左手の受付があり、スキンヘッドで体格のいいアジア顔の男性が立っていた。
彼が日本人だということを、見た瞬間は認識できなかった。
後で分かったことだが、中村さんというらしい。

気を改めて中村さんに日本語で自己紹介した。
久しぶりに日本語を使うのは新鮮だった。
会話をしていると、中村さんが近くを通りかかった生徒をつかまえて、僕を紹介してくれた。
彼女はアンナさんという名前で、大学で日本語を勉強していた。
ゆっくりめの日本語で会話をしていると、物珍しさからわらわら生徒が集まってくる。
アルトゥールが大学で友達を大量に紹介してくれたあの時を思い出した。

僕の大学には、留学生が空いた時間に待機していて、英語で日本の学生と気軽に会話ができる部屋、というものがある。
僕は現在、ウクライナの学生に囲まれて、全員日本語を話すという世にも奇妙な世界にいる。
うちの大学で英語を話してくれる留学生はこのような心境なのだろうか?
外国人の話す日本語は、ネイティブからするとどうしても違う。
ある女の子が話し相手を指すときにふつうに「お前」と言っていたのは、指摘するべきだった。
彼らの話す日本語は、違和感があるが、必死さが伝わるので、意味は理解できる。
これは英語に置き換えても同じことである。

時間を忘れるほど、ウクライナ・日本語センターにいる学生との会話は楽しかった。
アルトゥールと話そうとすると、頭の中で英語と日本語が混ざってしまって言葉が少し出にくくなったと感じた。
僕が日本語で喋っているあいだ、アルトゥールは日本語の本を眺めてみたりして、時間をつぶしていたらしい。
彼は殆ど日本語は分からないので、申し訳なさを感じた。

日が暮れるころ、彼らが外で盆踊りの練習をするというので、一緒について行った。
Youtubeで踊りを真似するのだが、彼らが見ていたのは盆踊りでなく、阿波踊りだった(笑)
楽しそうにしていたので、輪の中に入って一緒に踊った。

日本で盆踊り(阿波踊り)とか、やったこともなかったし、人前で踊るのも古臭くて嫌だと思っていたが、日本の文化に興味を持っている人たちにとっては、それが独特の良さを醸し出すのだろう。
そして、今僕が感じているウクライナの素晴らしさの中には、彼らにとっては普通過ぎて気付いていないものも多くあると思うし、外からの視点で国を眺める大切さを感じた。

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